2019年 04月 29日
《 「我に五月を」・・・暦(卯月)から(皐月)へ 》
―― 人は自然への遠い記憶を失っては生きていけない。――
―― 暦(卯月)から ――
かえりみて懐かしいものはみな恩であるといふ。
野も。
山も。
海も。
人も。
―― (卯月)から(皐月)へ ――
「我に五月を!」
( バタバタバタバタバタ・・・・)
機械好き 新しもの好き(アンチャン)が
少ない給料を貯めこみ
どこからか 手に入れてきた
エンジン付き自転車
(バタfバタ)
昭和二十一年五月七日
( バタバタバタバタバタ・・・・)
爆音とともに
餓鬼たちの丸くなった目のなかを
颯爽目もくれず 在から市(まち)へ
アンチャンが走り抜ける!
二十才 僕は五月に誕生した。
僕は木の葉をふみ若い樹木たちをよんでみる。
いまこそ時 僕は僕の季節の入口で
はにかみながら鳥たちへ
手をあげてみる。
二十才 僕は五月に誕生した。
(『われに五月を』「五月の詩・序詞」)